「オルフェウスの窓」ファンサイト「Die Blaetter」管理人ぼーだらのブログです。いろいろ語っております。ツッコミお願い致します!
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オル窓にはまって幾星霜、オル窓のためだけに(w)ロシア文学を手に取ったことも幾たびか。そして多くの場合挫折(^^;)したわけですが、やはり人名それ自体の長さ、ややこしさもその一因だったような気がします。
まず、スラヴ系の名前の場合、名前自体に男女の別がある。大体女性形はAを語尾につける。
ミハイロフ(Mikhailov)=男性形→ミハイロヴァ(Mikhailova・ミハイロワ)=女性形
新聞などでは「ミハイロワ」というようにW音で表記していることも多いんですが、男性形と比較しやすいようV表記にしました。これもややこしい話で、テニスの選手の「バブリンカ」「ワウリンカ」はなんだか別人の名前のようです。V音表記なら「ヴァヴリンカ」になるんですが。
クリコフスキイ=男性形→クリコフスカヤ=女性形
「~スキイ」はポーランド・ウクライナ系に多い苗字らしいんですが、ポーランド語だと
スクウォドスキ→スクウォドスカ、という変化になります。ウクライナ・ポーランド系には男女変化のない苗字もあります(ワレサ=WIKIではヴァウェンサ、とか)。これは後で述べる父称とも関わってきます。
カレーニン=男性形→カレーニナ=女性形 ロシア語。これは分かりやすい。
なお、苗字変化のややこしいのはチェコ語で、
マサーリク→マサーリコヴァー カレル・チャペック作品で覚えました。
これに加え、ロシア名前だけの特徴として、「父称」があります。ドイツ人やフランス人などの「ミドルネーム」の代わりに、父親の名前に「~(o,e+)ヴィチ」あるいは「~ヴナ」をつけたものが入る。その代りミドルネームはありませんから、「アレクセイ・ミハイル・イヴァノフ」みたいな名前はありえない。
アレクセイ(本人の名前)・ミハイロヴィチ(ミハイル+ヴィチ=父親の名前がミハイル)・ミハイロフ(姓)、という構成がデフォになります。おばあさまの名前「ヴァシリーサ・ミハイロヴナ」はおばあさまの父親の名前がやはり「ミハイル」だったことを示しているわけ。
父親の名前が苗字替わり→苗字になる例はヨーロッパ系では珍しくなく、英語なら「ジョンソン」は「ジョン+son」だし、スコットランド系の「マク~」も同じ意味。「マクドナルド」なら「ドナルドの息子」、「マッカーサー」なら「アーサーの息子」。アイルランドの「オ~」もそうで「オニール」「オブライエン」などがこのタイプの苗字です。ウクライナなどほかのスラヴ語圏では、「~ヴィチ」がそのまま苗字になっている例も少なくない。セルビアだったかな?「ムラトヴィチ」という姓があって、「ムラート」というトルコ・イスラム系のファーストネーム+スラヴ系の父称語尾で今苗字か、と唸りましたね。苗字は、どこでも割と新しい習慣(日本だって明治時代まで苗字のない人がほとんどだったわけですから)ですが、スラヴ文化ベースでオスマン時代にトルコ・イスラムの影響が入って、それが苗字として定着って、「名乗る歴史」になってるよ~!
ミドルネーム?として父親の名前が入るのは現在ではロシアだけ。アラブ系などでは、苗字の代わりに父の名前を使いますが、これはまた別の話。
個人的には、「アレクセイ・ミハイロヴィチ」みたいな呼び方をすると、「おお、ロシア!」みたいな気がするんで、SSでも割と使ってしまいますね(^^;)。父称まで使う呼びかけはすごく丁寧で相手を敬っている感じ、らしいのですが、結構ロシア文学でよく見る感じがするのは、なんだかんだ言って書いたみなさんセレブな貴族家庭の出身だから?
まず、スラヴ系の名前の場合、名前自体に男女の別がある。大体女性形はAを語尾につける。
ミハイロフ(Mikhailov)=男性形→ミハイロヴァ(Mikhailova・ミハイロワ)=女性形
新聞などでは「ミハイロワ」というようにW音で表記していることも多いんですが、男性形と比較しやすいようV表記にしました。これもややこしい話で、テニスの選手の「バブリンカ」「ワウリンカ」はなんだか別人の名前のようです。V音表記なら「ヴァヴリンカ」になるんですが。
クリコフスキイ=男性形→クリコフスカヤ=女性形
「~スキイ」はポーランド・ウクライナ系に多い苗字らしいんですが、ポーランド語だと
スクウォドスキ→スクウォドスカ、という変化になります。ウクライナ・ポーランド系には男女変化のない苗字もあります(ワレサ=WIKIではヴァウェンサ、とか)。これは後で述べる父称とも関わってきます。
カレーニン=男性形→カレーニナ=女性形 ロシア語。これは分かりやすい。
なお、苗字変化のややこしいのはチェコ語で、
マサーリク→マサーリコヴァー カレル・チャペック作品で覚えました。
これに加え、ロシア名前だけの特徴として、「父称」があります。ドイツ人やフランス人などの「ミドルネーム」の代わりに、父親の名前に「~(o,e+)ヴィチ」あるいは「~ヴナ」をつけたものが入る。その代りミドルネームはありませんから、「アレクセイ・ミハイル・イヴァノフ」みたいな名前はありえない。
アレクセイ(本人の名前)・ミハイロヴィチ(ミハイル+ヴィチ=父親の名前がミハイル)・ミハイロフ(姓)、という構成がデフォになります。おばあさまの名前「ヴァシリーサ・ミハイロヴナ」はおばあさまの父親の名前がやはり「ミハイル」だったことを示しているわけ。
父親の名前が苗字替わり→苗字になる例はヨーロッパ系では珍しくなく、英語なら「ジョンソン」は「ジョン+son」だし、スコットランド系の「マク~」も同じ意味。「マクドナルド」なら「ドナルドの息子」、「マッカーサー」なら「アーサーの息子」。アイルランドの「オ~」もそうで「オニール」「オブライエン」などがこのタイプの苗字です。ウクライナなどほかのスラヴ語圏では、「~ヴィチ」がそのまま苗字になっている例も少なくない。セルビアだったかな?「ムラトヴィチ」という姓があって、「ムラート」というトルコ・イスラム系のファーストネーム+スラヴ系の父称語尾で今苗字か、と唸りましたね。苗字は、どこでも割と新しい習慣(日本だって明治時代まで苗字のない人がほとんどだったわけですから)ですが、スラヴ文化ベースでオスマン時代にトルコ・イスラムの影響が入って、それが苗字として定着って、「名乗る歴史」になってるよ~!
ミドルネーム?として父親の名前が入るのは現在ではロシアだけ。アラブ系などでは、苗字の代わりに父の名前を使いますが、これはまた別の話。
個人的には、「アレクセイ・ミハイロヴィチ」みたいな呼び方をすると、「おお、ロシア!」みたいな気がするんで、SSでも割と使ってしまいますね(^^;)。父称まで使う呼びかけはすごく丁寧で相手を敬っている感じ、らしいのですが、結構ロシア文学でよく見る感じがするのは、なんだかんだ言って書いたみなさんセレブな貴族家庭の出身だから?
皆様の作品を拝見していて、特に若いファンは「革命家」というモノにピンと来ないのかな、と思うことがしばしばあります。
管理人の場合、「ロシア=カクメイカ=(よりによって)シベリア」というラインが成立したのは、実は小学校4年か5年の時でした…いったいいくつやねん?!と突っ込まれそうですが、意外と?健全かつ今でもフツーにありそうな読書生活の結果だったんですよ。だって、市立図書館にあった「帰ってきたシャーロック・ホームズ」ですもん。親も先生も薦めこそすれ、まぁ物騒だの何考えてるかわからん子供やだのとは考えない本です。今思えば、ちゃんと読んで薦めてんのかPTAって本も結構あった気がする(笑)。
この先ネタバレですから、「シャーロック・ホームズの帰還(大人向けだとこういうタイトルになる。ちなみに管理人の手元にあるのは延原謙訳の新潮文庫版)」中の「金縁の鼻眼鏡」読んだことない人は読まないでくださいね! いいですね! ちゃんと警告しましたからね!
「金縁の鼻眼鏡」は、イギリス・ケント州の片田舎に住んでいる老教授の邸宅で教授秘書が刺殺されたのが発端。犯人の遺留品である「金縁の鼻眼鏡」から犯人の特徴を次々割り出していくホームズの推理はいかにも名探偵だし、手近なもので罠を仕掛け犯人と協力者を炙り出す伏線の引き方も鮮やかで、子供向けでも十分楽しめる話ですが、実は犯行の因縁はロシアに遡り、犯人と協力者はかつてロシアで革命家として活動し、その後メンバーの一人の裏切りで組織が壊滅した…というエピソードがある。犯人はこの時シベリア送りになるが刑期が短かったため釈放、名前を変えてイギリスでのほほんと暮らす裏切者から、同志を救うことができる文書を盗むためにやってきたが、その際に秘書ともみ合って殺してしまったという話。ただ、最後に自殺するこの犯人は一貫して、自己犠牲をいとわない気高い女性として描かれていて、「洗っても決して美しくならない顔(中略)…彼女の挙措にはある気高さがあり、(中略)こう然とあげた頭には豪気さがうかがわれ、なんとなく侵しがたいところのあるのを感ぜしめた(原文ママ)」という、厳しさと、剛毅さと、激しい正義感を備えたヒロイン的な存在なのです。不思議な、そして気高く激しい生き方として「ロシアの革命家」が子供心に刻まれたのでした(^^;)。
この事件はワトソンによると1894年のこと。この頃は実際にロシアからイギリスに亡命してきた人も少なくなかったようで、その亡命者からロシア語を学んだ才女コンスタンス・ガーネットがゴーゴリやドストエフスキーの英訳を手掛けたりもしている時代です。夏目漱石も、「思ひ出すことなど」で長々とドストエフスキーに触れていますが、あるいはそれも1900年からのイギリス留学に由来するのかもーー。
ちなみに、裏切者の名前は「セルギウス(セルゲイ)」、犯人が命がけで救おうとした同志の名前は「アレクシス(アレクセイ)」。なにこの一致(笑)。
管理人の場合、「ロシア=カクメイカ=(よりによって)シベリア」というラインが成立したのは、実は小学校4年か5年の時でした…いったいいくつやねん?!と突っ込まれそうですが、意外と?健全かつ今でもフツーにありそうな読書生活の結果だったんですよ。だって、市立図書館にあった「帰ってきたシャーロック・ホームズ」ですもん。親も先生も薦めこそすれ、まぁ物騒だの何考えてるかわからん子供やだのとは考えない本です。今思えば、ちゃんと読んで薦めてんのかPTAって本も結構あった気がする(笑)。
この先ネタバレですから、「シャーロック・ホームズの帰還(大人向けだとこういうタイトルになる。ちなみに管理人の手元にあるのは延原謙訳の新潮文庫版)」中の「金縁の鼻眼鏡」読んだことない人は読まないでくださいね! いいですね! ちゃんと警告しましたからね!
「金縁の鼻眼鏡」は、イギリス・ケント州の片田舎に住んでいる老教授の邸宅で教授秘書が刺殺されたのが発端。犯人の遺留品である「金縁の鼻眼鏡」から犯人の特徴を次々割り出していくホームズの推理はいかにも名探偵だし、手近なもので罠を仕掛け犯人と協力者を炙り出す伏線の引き方も鮮やかで、子供向けでも十分楽しめる話ですが、実は犯行の因縁はロシアに遡り、犯人と協力者はかつてロシアで革命家として活動し、その後メンバーの一人の裏切りで組織が壊滅した…というエピソードがある。犯人はこの時シベリア送りになるが刑期が短かったため釈放、名前を変えてイギリスでのほほんと暮らす裏切者から、同志を救うことができる文書を盗むためにやってきたが、その際に秘書ともみ合って殺してしまったという話。ただ、最後に自殺するこの犯人は一貫して、自己犠牲をいとわない気高い女性として描かれていて、「洗っても決して美しくならない顔(中略)…彼女の挙措にはある気高さがあり、(中略)こう然とあげた頭には豪気さがうかがわれ、なんとなく侵しがたいところのあるのを感ぜしめた(原文ママ)」という、厳しさと、剛毅さと、激しい正義感を備えたヒロイン的な存在なのです。不思議な、そして気高く激しい生き方として「ロシアの革命家」が子供心に刻まれたのでした(^^;)。
この事件はワトソンによると1894年のこと。この頃は実際にロシアからイギリスに亡命してきた人も少なくなかったようで、その亡命者からロシア語を学んだ才女コンスタンス・ガーネットがゴーゴリやドストエフスキーの英訳を手掛けたりもしている時代です。夏目漱石も、「思ひ出すことなど」で長々とドストエフスキーに触れていますが、あるいはそれも1900年からのイギリス留学に由来するのかもーー。
ちなみに、裏切者の名前は「セルギウス(セルゲイ)」、犯人が命がけで救おうとした同志の名前は「アレクシス(アレクセイ)」。なにこの一致(笑)。
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