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「オルフェウスの窓」ファンサイト「Die Blaetter」管理人ぼーだらのブログです。いろいろ語っております。ツッコミお願い致します!
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寒いですね! この週末には大阪にも雪が降るとか…3センチ積もったら都市機能が麻痺するところなので恐ろしい。土日ならまだましなのか…げ、大学入試センター試験だと! 気の毒に。
雪は綺麗なんですが。特に温かいところに住んでいると、一面の銀世界って憧れでしかないんですが、世の中それじゃすまないところも少なくない。
「雪の飄々ひょうひょう翩々へんぺんたるを観て花にたとへ玉に比べ、勝望美景を愛し、酒食音律の楽を添へ、に写しことばにつらねて、称翫しょうがんするは和漢古今の通例なれども、これ雪の浅き国のたのしみなり。わが越後のごとく年毎に幾丈いくじょうの雪を視ば何の楽き事かあらん。雪のために力を尽し財をついやし千辛万苦する事、下に説く所を視ておもひはかるべし。」…というのは鈴木牧之「北越雪譜」の一説ですが、なんだか「ごめんなさい…」って気分になる。ええそうです、日本史の中で「雪の浅き国の楽み」を積極的にやってきたのが奈良京都、畿内の面々なんですから。
下の「スパシーバ~」につけてくださったコメントで、「雪は天から贈られた手紙」とあったので、中谷宇吉郎(1900-62)の「雪」を読み返してみました。この言葉がロマンチックな印象で独り歩きしていますが、「雪」はバリバリ理系の本なんですね。著者は世界初の人工雪作成に成功した物理学者。石川県に生まれ北海道大学に勤めたので、雪は身近であるとともに恐ろしさも知り尽くした存在だったでしょう。
「このように見れば雪の結晶は、天から送られた手紙であるということが出来る。そしてその中の文句は結晶の形及び模様という暗号で書かれているのである。その暗号を読みとく仕事が即ち人工雪の研究であるということも出来るのである。」
雪という天空のスパイからの暗号文! 読むほうにも、その成り立ちを詳しく知り一つ一つの「言葉」の意味を解析することを要求してくるハードルの高い手紙です。
私自身ロマンチックなイメージでこの本を手に取って、(決して難解な本ではないのですが)理系の研究の一端を、舌に乗せた雪のような一瞬刺すような冷たさとともに味わった気がした中学生時代…つまり雪の結晶のような精密な理論を組み立ててゆく理系の「カッコよさ」に痺れたわけですが、悲しいかな理系の研究者になる能力は私には見事に欠落していたわけで(^^;)。今ちょっと寂しい気持ちで読み返してみて気が付いたのが、この引用部分にもある「~ということができる」を多用した、いかにも異説が存在する可能性がある限り断言はしたがらない研究者文体、これは文系研究者とも共通ですね。そして、この比喩表現にまでその研究者構文を使ってくるところに、なんとはなしに一抹の含羞がある気もします。
「雪」は岩波文庫にも入っていますが、「青空文庫」(http://www.aozora.gr.jp/)なら無料。
雪からの手紙だけでなく、究極のところ言葉というものはその成り立ちまで考えつつ色々な能力を総動員して相対してこそ、その秘密、本当の意味が見えてくるのかもしれません。
画像は中谷氏による「雪」の挿入写真。上記サイトから拉致。

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