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「オルフェウスの窓」ファンサイト「Die Blaetter」管理人ぼーだらのブログです。いろいろ語っております。ツッコミお願い致します!
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はぁ、昨日は集中豪雨でえらい目に遭いました。ウチのビビリ犬なら腰ぬかしそうな雷で通勤電車が不通になりました――阪神大震災でも走っていた京阪電車なんですが。今どきの雨はほんまやることが乱暴です。
涼しい話に戻りましょう。
1917年夏、アメリカから横浜・敦賀経由、シベリア鉄道でペトログラードへと向かったわれらが中年インドア派モーム氏ですが、「サミング・アップ」によると、どうも散々な思い出になったようです。「私はロシアにもロシア人にもうんざりした」。体調もすっかり崩してしまい、イギリスにもどったとたんに病院送りになっているくらいですから、肉体的にもハードだったことは確か。「大使館勤務の連中は腹いっぱい食べてお国の仕事をしていたが、私は任務の性格上それは出来ず、お陰でロシア人と同じく栄養不良にならざるを得なかった」などといささか恨みがましいことも言っていたりする。
版によって異同があるようですが、岩波文庫版「アシェンデン」は序文+16章構成、うちロシア編は最後の3章になりますが、実は登場するロシア人は亡命ロシア人革命家の娘と紹介されているアナスタシーア・アレクサーンドロヴナ・レオニードフ(さすがにオル窓ネームにいちいち反応していたら身が持たないと思うようになった今日この頃)という女性(人妻)のみ。実は彼女は主人公の元カノで、その過去のいきさつが3章のうち「恋とロシア文学」に描かれている。その前の章は「旅は道連れ シベリア鉄道」で、ここでは大陸横断の旅――というより、列車で偶然知り合ったアメリカ人ビジネスマンハリントン氏の人となりがほとんどを占めている。つまり全3章のうちペトログラードの話は1章だけ…。やる気あるんかい、という淡白さともいえます。
そら任務は散々で体まで壊したんならろくなこと書かないのは当然――なのかどうなのか。解釈として、一番面白くて腑に落ちる?のは、ロシアでの彼の行動はがっつり機密事項だったので、上から差し止められていた、という解釈。でも、なら最初から書くなよ、って気がしませんか? ほかの章は、ドイツ情報をもたらしていたスイス人スパイ、イギリスの敵は味方だとドイツで活動するインド独立の志士とその恋人の踊り子、ドイツのスパイを務めるアイルランド系イギリス人とそのドイツ人妻と愛犬(犬が可愛い、泣ける)、自称「将軍」のメキシコ人殺し屋等々、ありそうな機密っぽいような、でも人間描写の面白さで読ませる話ばかりで、こっちが差し止めにならなくてロシアだけダメ?とも思えるし、逆にロシア編でも機密の周りを上手に迂回して面白い人間ドラマを描くこともモームならできたんじゃない?とも思える。

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