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「オルフェウスの窓」ファンサイト「Die Blaetter」管理人ぼーだらのブログです。いろいろ語っております。ツッコミお願い致します!
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不快に思われる方も多いということで、しばらくこちらのブログは放置しておりましたが、フェス開催中は一定期間置いておけるお知らせコーナーがやっぱり必要だ、という結論に達しました。メニューページのミニ窓は結構頻繁に書き換えるので、長期掲示には向かないように思います。フェス期間中は、こちらにも目を配っていただければ幸いです。なるべく自分のことは書かないようにいたしますので…。
で、早速お知らせです。ミニ窓でも書いたんですが、保存用にこちらにも。
当サイトミニフェス6月19日(日)まで続けます。作品の募集もこの日まで継続します。なお、最終日にはチャットを予定しておりますが、時間等のリクエストは早めに管理人までお寄せください。

なお、このブログを使ってちょっとしたミニイベントを計画しております。皆さまお楽しみに!

拍手[7回]

さて、ゲオルクスターラー↓。戦士と船乗りのお守り、と見ると、なんだか女性へのプレゼントとしてはふさわしくない気も(^^;)。
聖ゲオルギオス(ドイツ語でゲオルク)は、ギリシャ系貴族の家柄に生まれ、ローマ帝国の軍人となる一方でキリスト教に帰依。ディオクレティアヌス帝の禁教令が出たときに信仰を捨てずに殉教した…というより、伝説の世界では「竜退治の英雄」として有名。
カッパドキアのある王国に巨大な竜が住みついて、毒を吐き人を食いの悪行放題。王様の姫君までいけにえに差し出すことになってしまったが、そこに通りかかったゲオルギオスが、住民のキリスト教受信を条件に竜退治を申し出る。見事に退治してめでたしめでたし。
って、ここはお姫様と結婚して末永くがデフォやろが、とツッコミたくなるほどに、どっかで聞いたお話ではあります。ギリシャ神話のペルセウスとアンドロメダとか、日本神話のスサノオノミコトとクシナダヒメ(退治されるのがヤマタノオロチね)とか、化け物とお姫様の典型的なストーリーですね。神話学では、「ペルセウス=アンドロメダ類型」と呼ばれている、世界各地に散見されるひとつの典型的なパターンです。騎士姿で描かれるゲオルギオスとペルセウスは、西洋美術では実際かなり紛らわしい。対する女性が着衣ならゲオルギオス、ヌードならギリシャ由来のアンドロメダ姫で相方はペルセウス、というのが見分けるコツのようです。
ゲオルギオスには、これとは別に、異教徒の王につかまり改宗を迫られたが、拷問にあっても屈せず、却ってその姿に心打たれた王妃がキリスト教に入信してしまった…という伝説もあるので、貴婦人と縁の深いイケメン聖人なのかもしれません。
ゲオルクスターラーに刻まれているのは、この竜退治の画面。S. GEORGIUS EQUITUM PATRONUS(騎士の守り手聖ゲオルギウス)と文言が添えられます。10代男子のヘルマンは、愛するレナーテに「姫を救う騎士のようにあなたを守る!」というキモチで贈ったのかも…あー若いな~青いな~。文章にしてしまうとこっぱずかしいとしか言いようのない胸焼けしそうな甘さなのですが、原作の美しい画面なら許せる…っつか全部今自分が考えたことなんですが。勝手に(^^;)。
ちなみに裏面の、嵐に揺れる船の中で眠るキリストの画像には、IN TEMPESTATE SECURITAS(嵐の中の平安)という言葉が添えられます。心清いものは、危機にあっても神を信じ怖れなく穏やかでいられる…とのこと。
ユリウスが「聖ゲオルクはかあさんを幸せにしてくれた?」と呟いた時、彼女は母をかつて愛した男性の姿をそこに見たのでしょうか…アルフレートの贈り物には多分見えなかったと思うんだが。

拍手[14回]

「愚痴蒙昧の民として 我を哭かしめよ あまりに惨く 死にしわが子ぞ」
釈迢空の歌です。民俗学者折口信夫としての方が有名かな。
この人の歌は、ある種の直截さというか、言葉がひとつひとつ息遣いとともにつながっている、むしろ呟きがそのまま歌になったような雰囲気が魅力です。短歌としては珍しく句読点を用いるあたりもその印象を強くします。「葛の花 踏みしだかれて、色あたらし。この山道を行きし人あり」なども好きな歌です。
一方で、こちらの歌は直截というのを通り越して、床を打つ拳の音まで聞こえてきそうな激しさと悲しさに溢れています。
「わが子」は養子の春海。1945年3月に38歳で硫黄島で戦死しました。最初は学問の弟子であり、同性愛の恋人でもあった(そーいや釈迢空の同性愛は「葛の花」を習った高校時代に授業で聞いたなぁ。思えばLGBTに寛容な教室だった)このひとと、歌人は18年を共に暮らしていました。学問の後継者と目した愛弟子であり、共棲みの恋人。一心同体、というに近い濃密な人間関係。「あまりに惨く死にし」という表現はまるで、彼の無残な最期を自分の肉体で受け止めたかのようです。
文字通り生身の半身を切り裂かれるような痛み、しかし民俗学者としての折口は日本を研究対象にし、誰よりもその襞を知る人物でもあったのです。「愚痴蒙昧」、わしは何も知らんかった、大馬鹿もんや(いえ、折口も大阪出身なんですよ)。男泣きの底は彼の学問人生の深さでもあり、愚痴蒙昧という言葉には自分の人生を否定しているような深々、冷え冷えとした表情があります。
「愚痴蒙昧」。「無知蒙昧」と同じような意味なのですが、口に出してみると「無知」のぼんやりした柔らかさにはない、大声で愚かな言葉をまき散らしているような尖った騒がしい響きがあります。このセンスの鋭さ、適語を選ぶ語彙の豊富さは、プロ歌人の面目訳所ではあります。
ここまで濃い人間関係はそうあるものではないでしょうし、学者、インテリとしての感情も誰にでも分かるものではないかもしれません。それでも、この絶唱というより絶叫にも似た歌は、ひとつの戦争の肖像として、血の出るような嘆きの声を読むたびに響かせてくるのです。

拍手[4回]

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